剣の神。日本書紀では、国譲りのために葦原中国へ遣わされたのはこの柱と武甕槌神の二柱である。一方、古事記に経津主神の名は無く、遣わされたのは建御雷神と天鳥船神になっている。
同じ出来事を語りながら、記紀は主役の一柱を入れ替えている。編纂した氏族の違いが表れた箇所として知られる。
「フツ」は物が断ち切られるときの音を写したものとされる。刃が入って、抵抗なく切れる——その一瞬の音がそのまま神の名になっている。
建御雷神が神武東征で降した霊剣も布都御魂といい、この音は剣そのものを指す語として神話の中を動いている。名が意味ではなく音から始まっている神は多くない。
経津主神は千葉県の香取神宮に、建御雷神は茨城県の鹿島神宮に祀られる。両社は利根川を挟んで向かい合い、古くから対の社として扱われてきた。
武家の信仰を集め、剣術の流派が両社に参籠して奥義を得たという伝えも多い。二柱の神が対で祀られる形は、国譲りで並んで遣わされた記述と重なっている。
剣、そして断ち切ること。香取神宮を総本社とし、全国の香取神社に祀られる。奈良の春日大社にも建御雷神と並んで勧請されている。
香取・鹿島の両宮は、大和の朝廷が東国へ向かう際の前線に置かれた社でもある。剣の神が国の東の縁に祀られたことには、信仰と統治の両方の意味があった。
断面の美しい一本。鋭く裂けた破断面、刃物で切ったように平らな折れ口、細く薄く伸びた枝。
建御雷神が全体の姿——まっすぐさと切先——で選ばれるのに対し、この柱は切れた場所そのもので選ばれる。棒の形ではなく、棒が終わっている一点を当局は見る。
※この節は当局による解釈であり、記紀の記述ではありません。
まだ記録なし
発行済みの鑑定書のうち、この柱が宿った割合。鑑定が増えるたびに変動する。表記のゆれは名寄せしたうえで合算している。
この柱を宿した公開中の鑑定書は、まだない。