伊邪那岐命と伊邪那美命による神生みの、最後に産まれた火の神。古事記は「火之迦具土神」、日本書紀は「軻遇突智」と記す。
母である伊邪那美命は、この神を産んだときに身を焼かれ、それがもとで身罷った。妻を失った伊邪那岐命は十拳剣「天之尾羽張」を抜き、生まれたばかりの我が子の首を斬り落とす。日本神話において、親が子を斬る数少ない場面である。
別名・表記ゆれ: 火之迦具土神/火産霊神/加具土命/カグツチ。当局はこれらをすべて同一の柱として名寄せする。
飛び散った血からは、石析神・根析神・石筒之男神、そして雷の神である建御雷之男神が生まれた。斬られた体の各部からは、正鹿山津見神をはじめとする八柱の山の神が生まれている。
火は消えたのではなく、雷と山に姿を変えて世に残った。迦具土神の物語は滅びの話ではなく、変質の話である。当局が鑑定において「折れた棒」「裂けた棒」を欠損ではなく変質として扱うのは、この一節に拠っている。
火そのもの。ただし破壊だけの神ではない。竈の火、鍛冶の火、そして何より「燃え広がらせない力」を司る。
秋葉山本宮秋葉神社(静岡県浜松市)、愛宕神社(京都市)に祀られ、全国の秋葉社・愛宕社はいずれも火伏せ=防火の神として信仰を集めてきた。江戸の火除け地に秋葉大権現を勧請したことが、秋葉原という地名の由来とされる。
火を起こす神と、火を鎮める神が同一である——これがこの柱の核心にある。
迦具土神が宿るのは、火に触れた痕跡を持つ一本である。焼け焦げた表面、黒く炭化した先端、落雷を受けた木から折れた枝。焚き火の跡から拾われた棒に、この柱はよく降りる。
加えて当局は破断面を重く見る。斬られてなお神々を生んだこの柱は、完全な一本より、断たれた一本に近い。まっすぐ無傷の枝より、途中で裂けた枝のほうが迦具土神を招く。
※この節は当局による解釈であり、記紀の記述ではありません。
発行済みの鑑定書のうち、この柱が宿った割合。鑑定が増えるたびに変動する。表記のゆれは名寄せしたうえで合算している。
この柱を宿した公開中の鑑定書は、まだない。